相続登記の義務化について

query_builder 2023/08/26 相続 自宅 空き家 相続人 遺産分割 相続登記

2024年4月1日から、不動産の相続登記が義務化されることは、ご存知でしょうか?

亡くなった人が不動産を所有していた場合に行う名義変更の手続きを「相続登記」といいますが、

実はこれまでは相続登記は義務ではなく、罰則も無かったため、そのまま放置されることも少なくありませんでした。


今回の相続登記義務化については、遡って適用されますので、今後不動産を相続される方だけでなく、

過去に不動産を相続してそのままにしている方にも適用されます。

「相続はもう随分昔に終わったし、私には関係ないや・・」と思われた方も、

今回の改正内容についてわかりやすく解説しておりますので、ぜひ一度ご覧ください。


相続登記が義務化された背景

相続登記が義務化された背景は、「所有者不明土地の増加」の問題があります。


これまでは相続登記は義務化されていなかったため、亡くなった方の名義のまま、土地が放置されているケースが多々ありました。

そうすると、亡くなった人が土地の持ち主として登記されているため、本当の所有者が誰か分からなくなってしまうのです。

このような土地が増えていくことで、再開発、公共事業を進めるうえでの妨げになるだけでなく、空き地として長い間放置されることによって、雑草の繁茂やゴミの不法投棄、不法占有者などの問題が生じ、周辺の治安や公衆衛生に悪影響となってしまう可能性が発生します。


2017年12月に公表された所有者不明土地問題研究会の報告で、「2016年時点の所有者不明土地面積は、約410万haあり、九州以上に存在する」という報告がされました。

このまま放置すれば2040年には約720万ha(北海道くらい)に増加すると計算されています。


この現状を改善すべく、相続登記が義務化されることになりました。

相続登記の義務化はいつから?罰則は?

相続登記の義務化が開始されるのは、2024年4月1日からとなっています。


改正後は「相続の開始および所有権を取得したと知った日から3年以内」に相続登記をしなくてはなりません。

複数の相続者が存在するケースでは、もっとも遅く相続の発生を知った相続者の認知した日から3年以内と計算されます。

つまり、遺産分割協議によって不動産の所有権を取得した際には、遺産分割された日から3年以内に相続登記を済ませなければならないということです。


定められた期間内に登記しなかった場合、10万円以下の過料を求められる可能性があります。


また、相続登記義務化は、2024年4月1日以降の相続だけではなく、過去の相続も対象になりますので、放置してしまっている方も今一度確認と対応を検討されてください。

いったんの逃げ道「相続人申告登記」とは

自分が相続人であることを、法務局に申告しておけば、ひとまず登記の義務は免れるという新たな制度です。


この制度の使い所としては、資産の分け方などで話し合いが難航し、期間内に話がまとまらない場合などに、

一旦こちらの申請を行っておけば、罰則を免れるようになります。

もちろん、話し合いが行われている間でも、登記の手続き自体を行うことは可能ですが、

正式な相続人が決まった際には改めて登記をする必要があるため、二度手間となる上、登記を司法書士に依頼している場合は費用もかさんでしまいます。


ただしこの制度は、あくまでも所有者が誰かわからなくなることを防ぐための措置であり、不動産の名義人を証明する登記ができるわけではありません。

このまま放置しておくと、「登記しない場合のリスク」が発生する可能性があります。

最終的な登記は、遺産分割協議後の3年以内に改めて行うようにしましょう。 

相続登記しない場合の4つのリスク

「罰金といっても10万円程度ならこのまま放置しておいてもいいか・・」

と思われた方もいるかもしれませんが、そもそも相続登記をしないことで、将来4つのリスクが発生する可能性があります。



①権利関係が複雑になる

相続登記しないまま何年も経過すると、その間に相続が繰り返し発生して、気付けば相続人の数が増えていくことがあります。

すぐに手続きをしていれば、兄弟間でのみ遺産分割協議を行えばよかったことが、手続きを放置していたがために、

ほとんど顔も合わせたことがない、従兄弟同士や叔父と甥などの間で話し合いが必要になることもあるのです。


相続登記をするとき遺産分割協議書が必要なのですが、この遺産分割協議は相続人全員の署名捺印が絶対に必要です

相続人の数が10人、20人と増えれば増えるほど、相続人を特定する作業や署名捺印を相続人全員から貰うことがとても大変になります。


ほかにも、相続人が高齢で認知症になっていて意思判断能力が喪失していると、そもそも遺産分割協議に参加することができず、成年後見制度を利用し代理人を立ててもらったりする必要も出てきますが、亡くなった方と縁が遠くなればなるほど、代理人を立てるのが大変だと非協力的な対応を取られたりと、遺産分割協議をまとめるのは大変になります。


②不動産を売却・活用できない

不動産の名義が被相続人(亡くなった人)のままの場合、不動産を賃貸に出したり、担保にしたり売却することはできません。

不動産を売却・活用をする場合は必ず相続登記を行う必要があります。

ちなみに複数の相続人が存在する場合、遺産分割協議が成立しないままでは土地・建物の名義変更は行えませんので、まずは遺産分割協議を終わらせる必要があります。


③相続人の債権者による差し押さえがある

借金を滞納している相続者がいる場合、不動産が差し押さえられる可能性があります。

相続人にお金を貸している債権者は、債権を回収するため代位登記という方法で、相続人の代わりに相続登記を行い、不動産の一部を差し押さえることができます。

この場合は、借金を返して差し押さえを解除してもらえない限り、その不動産の名義を他の人に移すことができません。

また、その相続人自身も持分を売買したり担保提供したりすることが可能であるため、相続登記をしないで放置している間に相続人ではない第三者が権利関係に入ってくることもあり得ます。


④登記に必要な書類が入手困難になってしまう

相続登記をするには、原則として亡くなった方の住民票または戸籍の附票が必要です。

実は、亡くなった方の住民票や戸籍謄本等は、役所の保存期限が決まっています。

その期限を超えてしまうと、いざ相続登記をしようとするときに必要書類が取れなくなってしまうのです。

住民票の保存期限は5年、亡くなった方の戸籍は150年ですが、場合によっては、戸籍の附票の保存期間も住民票と同じく5年になります。

保存期限が過ぎて処分されてしまった書類は再入手できませんので、別個の書類が必要になったり、法務局に相談しながら手続きを進めなくてはならなくなってしまいます。

また、場合によっては、相続人全員が捺印した合意書を用意する必要もあります。

相続登記の手続きについて

申請手続きは、相続する土地を管轄している法務局で行います。

大まかな流れとしては、以下の通りです。


①相続する不動産を確認する

②遺言または遺産分割協議で引き継ぐ人を決める

③相続登記に必要な書類を収集、作成する

④管轄の法務局へ申請する


登記の申請については、登記事項証明書に必要事項を記入したうえで登録免許税分の収入印紙を貼り付け、必要書類と併せて法務局の窓口もしくは郵送で提出します。

窓口または郵送いずれかの方法で完了書類を受け取り、内容を確認したら登記事項証明書を発行してもらい、名義が正しく変更されているか確認します。

完了時に受け取る「登記識別情報通知書」は、不動産権利証と呼ばれる重要な書類なので大切に保管しておいてください。

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まるごと相続

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