相続による口座凍結を解除する方法や必要書類、注意点を解説します

query_builder 2023/09/15 相続 相続税 相続人 遺産分割 保険

今回は、口座凍結の解除手続き方法についてご説明します。


預金口座の名義人が死亡したことを銀行に連絡すると、その預金口座は凍結され、お金を下ろすだけではなく、振込や口座引き落としも一切できなくなってしまいます。


口座凍結を解除するには銀行所定の手続きが必要となり、手続きが完了するまで2~3週間かかります。

相続による口座凍結を解除する方法や必要書類、口座凍結に関する注意点などを解説します。

いつ口座凍結される?

「口座凍結がされるタイミングは、相続人の誰かが銀行に申請をした後」です。


誰かが亡くなったということは個人情報なので、死亡届を受理した役所が銀行等に知らせることはありません。

自分は何もしていないのに凍結されたという場合、他の相続人が銀行へ問い合わせをしたというケースが考えられます。

また、銀行間で口座名義人の死亡に関する情報が共有されることはないので、A銀行に死亡の連絡をして口座が凍結されても、B銀行の口座は凍結されません。


もし仮に、葬儀費用などを故人の口座から支払いたいと言うのであれば、亡くなった後すぐに引き出す必要がありますが、凍結前にお金を引き出すことは避けてください。

「相続放棄ができなくなる」「相続人間のトラブルの原因になる」といったリスクがあります。


凍結前に口座からお金を引き出してしまうリスク

☑相続放棄ができなくなる


相続は資産だけでなく借金などの負債も引き継ぐ対象となります。

相続の方法としては、

 ①資産も負債も一切の財産を引き継ぐ「単純承認」

 ②プラスがある場合に限り引き継ぐ「限定承認」

 ③借金が多かったりする場合に一切の財産を放棄する「相続放棄」

の3種類があります。


相続開始を知ってから3ヶ月以内でどの選択をするか?決めることが出来るのですが、遺産分割前に、預金を引き出すことは単純承認とみなされて、後に多額の借金が発覚しても、限定承認や相続放棄が認められない可能性があります。


☑相続人間のトラブルの原因になる

故人の死亡後に、一部の相続人が預金を引き出した場合、その使い方によってはほかの相続人とのトラブルに発展する可能性があります。

葬儀費用など明確な使途があり、領収書などの証拠書類があれば問題ないのですが、使途不明金があると相続人間で不信感が生まれる原因となります。


故人の死亡後に引き出された預金も相続財産ですから、当然に遺産分割協議の対象になりますし、相続税が発生する場合には申告すべき財産に含まれることになります。

どうしても引き出す必要がある場合には、使途を明確にすること、相続人全員の了承を得ておくことが重要です。


このようなリスクを避けるためにも、預金の引き出しは、遺産の洗い出し&分割協議書の作成が完了してからにしましょう。

仮払い制度を活用を検討

仮払い制度とは、「葬儀費用の支払いや、当面の生活費のために、お金が必要になった場合に相続貯金の払い戻しが受けられるように、法改正された制度」です。


払い戻しを受け取れる金額の計算式は下記のようになります。


【 相続開始時の口座貯金額 × 1/3 × 相続人の法定相続分 】


しかし、各銀行の口座の払い戻し上限は150万円のため、150万円までしか引き出すことが出来ないため、あくまで突発的な葬儀費用などにあてる、一時的な救済措置と考えてください。


仮払い制度を使って銀行に払戻しを請求する場合には、下記の書類を提出する必要があります。

 ①銀行所定の請求書(申請書)

 ②亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本

 ③相続人全員の戸籍謄本

 ④払戻しを受ける相続人の印鑑証明書


口座凍結の解除方法

口座凍結の解除方法は、下記の流れで手続きを行います。


①銀行への連絡

亡くなった人が利用していた銀行に電話をして、口座の名義人が亡くなったことを伝えます。

この時点で口座は凍結されますので注意してください。

手続き案内のために来店を要求されることもありますし、そのまま電話で必要書類を案内してくれることもあります。


②必要書類の準備と提出

銀行から指示された必要書類がすべて準備できたら、銀行に連絡して窓口に提出します。

預金口座の相続手続きで一般的に必要となる書類は次のとおりです。

なお、印鑑証明書や法定相続情報一覧図など公的書類の有効期限については、3カ月または6カ月としている銀行が多いです。有効期限については必ず確認することをお勧めします。


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●相続人が1人の場合

①相続届(各銀行ごとに雛形が異なる)

②亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本

③相続人の戸籍謄本

④相続人の印鑑証明書

※②③は法定相続情報一覧図で代用可


●相続人が複数の場合(遺言書がない場合)

①相続届(各銀行ごとに雛形が異なる)

②亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本

③相続人全員の戸籍謄本

④相続人全員の印鑑証明書

⑤遺産分割協議書

※②③は法定相続情報一覧図で代用可


●遺言書がある場合

①相続届(各銀行ごとに雛形が異なる)

②亡くなった人の死亡の記載がある戸籍謄本

③口座を引き継ぐ相続人の戸籍謄本

④口座を引き継ぐ相続人の印鑑証明書

⑤遺言書(自筆証書遺言の場合には検認が必要)

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上記は一般的な必要書類です。

銀行や事例により上記以外の書類を求められることもありますので、個別に確認しましょう。


口座凍結解除までの日数は、必要書類をすべて提出して2~3週間程度で手続きが完了します。

亡くなった人の口座を引き継ぐ名義変更であれば、名義が変更された通帳を受け取ります。

解約して預金の払戻しを受ける場合であれば、相続人が指定した銀行口座に払戻し金が振り込まれて、亡くなった人名義の解約済みとなった通帳が郵送されてきます。



相続前に対策・準備しておくべきこと

●生前贈与を計画的に行う


突発的な相続が発生した場合、葬儀費用などで残された遺族が一時期的に建て替えなければならない資金が発生します。

相続用の緊急予備資金を、計画的に生前贈与しておけば、突発的な支出で遺族が困る事態を避けることができます。

ただし、特定の相続人への生前贈与は、ほかの相続人とのトラブルの原因になることもありますので、

平等な贈与や遺言書を作成して、計画的に行う必要があります。



●生命保険の加入


生命保険に加入しておけば、受取人に指定した相続人に確実にお金を残すことができます。

生命保険の場合、保険金請求を行って数営業日でお金が支払われるため、現金化のスピードも早く、

生命保険金は、分割の対象ともなりませんので、ほかの相続人とトラブルに発展することもありません。

また一定の金額は相続税の対象外にもなり、税金の負担も減らすことができるため、

緊急予備資金の準備としては最適な方法です。



●預金口座を把握・整理しておく


被相続人が利用している銀行を一覧化、もしくは一箇所に通帳などを管理しておきましょう。

特にネットバンキングは、通帳も郵送物もない場合が少なくないので、亡くなった後に確認するのは簡単ではありません。

必要以上の銀行口座を保有している場合、不要な銀行口座は解約し、必要な銀行口座のみ残しておくこともアリです。


また凍結後は、電気・ガス・水道・電話・クレジットカードなどの引落もとまってしまうため、

引落先の口座を一箇所に集約させておくと、後々の手続きがスムーズになります。


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まるごと相続

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