遺留分とは?遺言書を作成している方は確認必須!
遺留分とは、相続人の権利を保護するために法律で定められた最低限の相続分のことです。
遺留分の割合は、相続人の数や関係によって異なるため、相続人が受け取る遺留分の割合を正確に把握することは重要です。
遺留分は、遺言書があることで発生する権利です。
つまりこの権利は遺言によっても奪うことはできないため、遺言書を作成する場合は、遺留分も考慮する必要がありま
このコラムでは基本的は遺留分の解説と、対策について解説します。
遺言書の作成を検討している人は、特にご一読ください。
遺留分とは
遺留分とは、法定相続人に最低限保障される遺産取得の権利です。
遺言によって特定の相続人に遺産のすべてを遺贈されたり、愛人に財産を残されたりした場合でも、一定の範囲の相続人は、遺留分を主張すれば必ず一定の財産を取得できます。
また、遺留分はあくまで「権利」なので、請求するかどうかを相続人が判断することができますし、請求する場合も期限内に請求しないと権利がなくなります。
遺留分の期限としては、2パターンがあります。
☑遺留分の侵害を知ったときから1年を経過すると、請求権が消滅してしまう
☑被相続人が亡くなったとき(相続開始)から10年経過すると、相続の発生や遺留分侵害を知らなくても請求権は消滅する
また、遺留分を被相続人の生前に放棄してもらうこともできます。
放棄する相続人が家庭裁判所で申し立てをする必要があり、遺留分を一度放棄すると、撤回は難しくなります。
相続人が受け取る遺留分の割合
遺留分の割合は「法定相続分の半分」(直系尊属者のみが相続人の場合は「法定相続分の3分の1」)となります。
※直系尊属者:父母・祖父母など自分より前の世代で、直通する系統の親族のこと
具体的には下記の図のようになります。
見ていただいての通り、兄弟姉妹には遺留分がない点には注意が必要です。
遺留分の計算例
上記の割合を元に、具体的な遺留分の計算例を見ていきましょう。
ここでは亡くなった人(Aさん)が相続財産を4,000万円保有していた場合で、計算します。
●パターン①:配偶者+子ども1人が法定相続人の場合
・法定相続分
-配偶者:2,000万円(4,000万円×1/2)
-子供:2,000万円(4,000万円×1/2)
・遺留分
-配偶者:1,000万円(2,000万円×2分の1)
-子ども:1,000万円(2,000万円×2分の1)
●パターン②配偶者と被相続人の父親が法定相続人の場合
・法定相続分
-配偶者:2,666万円(4,000万円×2/3)
-父1,333万円(4,000万円×1/3)
・遺留分
-配偶者:1,333万円(2,666万円×2分の1)
-父:666万円(1,333万円×2分の1)
遺留分侵害額請求とは?
遺留分侵害額請求とは、遺留分を侵害された権利者が、侵害者(贈与や遺贈で多くの財産を受けた人)に対して遺留分をお金で返してもらう手続きをすることです。
2019年7月以降「遺留分侵害額」として、改正されたことによって遺留分相当額の現金を請求できるようになりました。
つまり、遺産が自宅のみである場合などに、遺留分を請求されると、遺産である自宅を売却して資金を捻出するか、遺産とは別に自分が保有していた現金で支払う必要があります。
またこの遺留分は、相続発生時の遺産のみではなく、生前贈与した財産も対象になります。
具体的には、相続開始1年以内に生前贈与した財産が対象に含まれます。
なお、遺贈者と受遺者の双方が遺留分を侵害すると知りながら行われた贈与については、期間の制限はなくすべて遺留分侵害額請求の対象となります。
また、法定相続人への生前贈与が、特別受益となる場合には、原則相続開始前10年以内の贈与も対象となります。
※特別受益:一部の相続人だけが生前贈与を含めて、亡くなった人の財産を受け取った利益のこと
-特定の相続人のみに生前贈与を行っている
-現金資産の割合が少ない
場合は、遺留分には特に準備が必要です。
遺留分の対策
前述の通り、遺留分は遺言書があることで発生する権利です。
まずは、遺言書作成時点で、遺留分を具体的に算出しておきましょう。
その上で、遺留分相当額の現預金を、請求される側の相続人に確実に残しておける状況をつくる必要があります。
この資金の準備として最適なのは、「生命保険」です。
相続における生命保険の特徴としては、生命保険金は受取人固有の財産になることです。
つまり生命保険金は、法定相続分にも遺留分の対象にもなりません。
つまり、受取人は生命保険金を自分の財産として確実に受け取ることができます。
さらには生命保険金は、一定金額は相続税の対象にもならないようになっております。
(法定相続人×500万円)
生命保険の中には、保有している現金を、一時金として保険にする商品があります。
商品によっては告知(健康状態を申告すること)が必要の無いものもありますので、
直近病気で入院していたり、持病があっても問題なく契約ができます。
保険会社によって所定の年齢制限がありますので、遺言書と合わせて早めの検討が必要です。
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